パニック障害を患うと、日常生活の中で様々な行動制限が付きものです。
なぜならば、パニック発作が起こってしまうという予期不安にかられ、実際、動悸や震え、発汗、めまい、息苦しさなどの症状を感じてしまうからです。
どんな状況下においても発作が起こり得ますが、特定の場所ではよりその確率が上がります。
この記事では、そんな「パニック障害を抱える人が苦手な場所」について解説していきたいと思います。
パニック障害を患っている人は「広場恐怖」や「予期不安」のリスク抱えている
- その場からすぐに離れられない場所にいることで不安を感じパニック発作を起こしてしまう「広場恐怖」
- 「発作が起きたら迷惑をかけてしまう」「また発作を起こしてしまうかも」といった恐怖を感じる「予期不安」
パニック障害を患っている人は、常に上記のような不安を抱えているのです。
パニック障害を持つ人が行きにくい場所
それでは、実際にパニック障害を持つ人が行きにくい場所を具体的に挙げていきましょう。
①身動きの取りにくい混んでいる電車の中
電車の中でパニック発作を起こすケースが多いのは、「特定の空間内に閉じ込められている状態」だからです。
飛行機や新幹線といった乗り物でも広場恐怖を感じることはありますが、トイレなどに移動できるためその程度はそこまで大きくありません。
しかし、混んでいる電車の場合は、「身動きが取れない状態」が強制的に続きます。
「その場から離れたくても離れられない」という状況によって広場恐怖をより強く感じ、さらに周囲の人に迷惑をかけてしまうという予期不安も同時に感じてしまいます。
そのため、パニック障害を持つ人は混み合う電車に乗らなくなる傾向にあります。
予防という意味では効果的ですが、障害自体は慢性化していきます。
②美容室や床屋、マッサージ店
男女問わず定期的に髪を切りに行きますよね。
美容室や床屋などは、髪を切る間身動きが取れない状況が続きます。
「ちょっとトイレ行っていいですか?」や「ちょっと息苦しく感じちゃって一瞬外の空気を吸ってきていいですか?」とスタッフに申し出て一時的に回避することはできはしますが、実際には言いにくいため口に出せないものです。
近年人気となっているマッサージ店も同じようなシチュエーションですよね。
他にもエステサロンや脱毛サロン、歯科病院なども似たような状況かもしれません。
その中でも特に美容室や床屋などがパニック発作を起こしやすい理由が、髪の毛が服につかないように巻くクロスの存在です。
切った髪の毛が首元から入らないように苦しくなるギリギリの状態に巻きますし、上半身がスッポリと入る形状なので、手が自由に使えません。
悪く言えば、「拘束されているような状態」なわけです。
そのため、広場不安や予期不安を感じやすくなるのです。
③車の中
パニック障害を持つ人の中には、「車の運転が怖い」といった人がとても多くいます。
もちろん、運転だけでなく助手席や後部座席に乗ることも同様に恐怖を感じてしまいます。
運転中はもちろん車の外に出られないので、車内に閉じ込められているような感覚となるため、パニック発作が起きやすくなります。
例えば高速道路では、次のSAまで10km以上あるケースも多いですよね。
そのため、車内に閉じ込められている感覚を覚えやすいのです。
一般道であっても、大通りで渋滞にハマりコンビニなどのお店に寄れなくなるシチュエーションになると、パニック発作が起こりやすくなります。
参考記事:パニック障害で車の運転が不安|安心して車に乗るために必要なこと
④エレベーターの中
エレベーターの中も、自由に動くことができない密室状態であるためパニック発作を起こしやすいシチュエーションだと言えます。
特に高層ビルのエレベーターは、扉が開くまでに時間がかかるため、より発作が起きやすくなります。
また、高層ビルなどでの1分前後の長い時間ではなく、20秒前後の短い時間であっても、エレベーター内の人数が多いことでパニック発作が起こりやすくなります。
1度エレベーターでパニック発作を経験してしまうと、エレベーターに乗ること自体が難しくなります。
階段で目的の階まで行くといった方法もありますが、高層階の場合は現実的に難しいため、何回も途中で乗り降りを繰り返しながら目的の階まで行かなければなりません。
参考記事:エレベーター恐怖症について|パニック障害や他の恐怖症との違い
⑤会議室
会議室というと、それほど狭い空間ではないためパニック発作が起こりにくいような気がしますが、実際には起こりやすいシチュエーションであると判断できます。
会議中は、基本的に休憩時間になるまで席を立つことができません。
まだ水やコーヒーを飲無ことができるので最悪な状況ではありませんが、一定時間同じ場所から動けないのはパニック障害を持つ人からするとかなり苦痛なのです。
毅然とした態度でしっかりと発言しなければならない会議の場であるがゆえに、「もしここでパニック発作が起こってしまったらどうしよう」といった不安が襲ってきやすくなります。
広場恐怖も感じますが、予期不安の方が強く感じるかもしれません。
まとめ
今回は、「パニック障害を持つ人が行きにくい場所」について解説してきました。
ここで挙げた5つの場所は、パニック発作が起こりやすいとされています。
それらの場所になるべく行かないようにすることで予防ができる反面、障害が慢性化してしまう可能性があるのも事実です。
治療によって症状を緩和させつつ、無理のない範囲でそれぞれのシチュエーションに徐々に慣れていくことも重要といえるでしょう。ただ自身の気合と努力だけではどうにもならないのがパニック障害の特性ですので、その際には必要に応じて下記のようなプロのカウンセラーに相談し、アドバイスを受けることで苦手克服の道筋を見いだせるかもしれません。
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