パニック障害を患う人が歯医者を苦手とする理由と対処法

人形の頭の上に虫歯の文字 コラム

皆さんは歯医者はお好きですか?

ほとんどの人が、「嫌い」もしくは「嫌いではないが好きではない(行きたくはない)」と答えるはずです。

実は歯医者に行くことを極端に怖がる「歯科恐怖症」といったものもありますし、口の中に異物が入るだけで吐き気を感じてしまう「嘔吐反射」の性質を持つ人もいます。

そして、この記事でピックアップする「パニック障害」を患う人もまた、歯医者が非常に苦手となる傾向があるのです。

この記事では、そんな「パニック障害を患う人が歯医者を苦手とする理由と対処法」について解説していきたいと思います。

なぜパニック障害を患っている人は歯医者が苦手なのか?

まずは、なぜ歯医者がパニック障害を患う人にとって苦手な場所となるのか、その理由を挙げていきましょう。

ポイントとなるのは、治療する「体勢」と「状況」にあります。

治療する際は、治療台(リクライニングチェアー)に横になりますよね。

「口を開けてください」と促され口を開けると、後は歯科医師や歯科衛生士などが「口をゆすいでください」と言うまで同じ体勢で口を開けたままでいなければなりません。

この状況がパニック障害を患っている人にとっては非常に大きな恐怖や不安を感じる原因となるのです。

パニック障害は、「逃げられない状況」が非常に苦手です。

乗っている人が多い電車やバス、エレベーターなどはその場から離れることが困難である状況ですし、美容院や歯医者もその場に居続けなければならない状況ゆえに大きな不安や恐怖を感じてしまうのです。

パニック障害を抱える人がそうした大きな不安や恐怖を感じ続けると、高確率で「発作」が起きてしまいます。

息苦しさやめまい、発汗、頭痛、吐き気などが起こり、「死んでしまうのではないか」といった恐怖が襲ってきます。

この発作で命を落とすことはありませんが、10分以上症状が続くこともあるため、本人も辛いですし周囲の人もどうしたら良いのか分からず混乱してしまいます。

また、「治療中に発作が起きたらどうしよう」という不安がより発作の確率を上げてしまいます。

これは、「予期不安」といわれるもので、逃げられない状況下で起こりやすくなります。

治療を開始した当初は平気であっても、一度「動けない(逃げられない)状況だ」と意識してしまうと、そこからは1分、1秒が苦痛となります。

「発作が起きたら迷惑が掛かる」と思えば思うほど、精神的に追い込まれパニック発作が起こりやすくなるのです。

パニック障害を患っている人の歯医者での対処法

歯医者が苦手だからといっても、歯が痛くなってしまったならば治療するしかありませんよね。

普段からしっかりと歯のケアを行っていて、一生虫歯や歯周病などがなく歯医者に行かなくていい人も稀にいますが、大抵の人は数年に1度はお世話になるはずです。

何も対策せずに治療を受けてしまえば、発作が起きる可能性も高くなるので、可能な限り対処法を知っておきたいところです。

ここからは、具体的な対処法をいくつか挙げていきましょう。

①パニック障害に対して理解のある歯科医院を選ぶ

一般的な歯医者でも、「パニック障害を患っていて」と申告をすれば何かしらの対応をしてもらえる可能性はあります。

しかし、パニック障害を持つ人の多くはなるべく歯医者に行かないように心掛けながら暮らしているので、歯医者側もあまり経験がないといったケースが多いのが現実です。

そうしたリスクを減らすためには、「パニック障害に対して理解のある歯科医院」を調べて通うという選択肢が有効です。

歯医者のHPやブログにパニック障害の人にも対応可能と掲載しているケースもありますし、電話やメールでの問い合わせに対して「当医院ではこうした対応をします」といった返事を事前にもらえるケースもあります。

精神疾患の人のケアに力を入れている歯医者では、例えば静脈麻酔法を取り入れて治療をしたり、カウンセリングの時間を十分に取り安心感を高めてから治療を始めるといった対応をしてくれます。

口を開けた状況(逃げられない状況)が短くなるように、こまめに休憩を挟んでくれるケースもあります。

「歯医者の意志やスタッフがパニック障害だと理解してくれている」と分かるだけでも精神的な安心感がまったく異なるため、発作が出にくくなります。

②抗不安薬を治療前に飲んでおく

パニック発作を何度も経験している人の場合、すでに精神科や心療内科に通院しているケースも多いですよね。

ほとんどの場合、抗不安薬などを使用した治療を行うことになります。

治療前に抗不安薬を飲めば、何も飲まずに治療を受けるよりも精神的な辛さが和らぐため、治療に耐えられる可能性が高まります。

ベストなのはやはり事前に歯医者側にパニック障害であることを告知して可能な限りの対応を取ってもらうことですが、もしも言い出せないのならば抗不安薬を飲んでから治療に臨むような流れとなるでしょう。

まとめ

今回は、「パニック障害を患う人が歯医者を苦手とする理由と対処法」について解説してきました。

歯医者での治療は逃げられない状況であるため、パニック発作が起こりやすい環境だといえます。

もしもパニック障害を患っていて歯医者に行くことをためらっているならば、ぜひここで挙げた対処法を実践してみましょう。

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