パニック障害は珍しい疾患ではなく、自身や周囲の人がいつ患ってもおかしくないものです。
実際に周囲にパニック障害者がいるという人も多いのではないでしょうか?
発作は非常に苦しさを伴うため、なるべく素早く症状を軽減させてあげたいと感じますが、有効な対処法をしていないとなかなか発作を止めることができません。
そこで、有効な対処法である「5-4-3-2-1法」をおすすめします。
この記事では、そんなパニック障害の発作への有効な「5-4-3-2-1法」の効果と具体的な実戦方法について解説していきたいと思います。
パニック発作は対処法を実践しなければなかなか静まらない
パニック発作を起こしてしまうと生命の危機を感じるほど辛い状況を体験することとなります。
以下の症状のうち「4つ以上」が同時に起きることが多いようです。
- 動悸
- 震え
- しびれ
- 吐き気
- めまい
- 息苦しさ(呼吸困難)
- 現実感の消失
- 死んでしまうかもしれないという感覚(恐怖)
- 悪寒
- 冷や汗
- 気が狂いそうになる感覚(恐怖)
電車やエレベーターなどその場から逃げられない状況の際に起こること(広場恐怖)もありますし、「また発作が起こってしまうのでは」と感じてしまうことでも起こります。(予期不安)
一度発作が起こると、収まるまでおよそ20分程度かかるケースが多いとされています。
基本的に命を落とす危険性はないのですが、パニックに陥っているため生命の危機を感じてしまうのです。
パニック発作に有効な「5-4-3-2-1法」
それではここからは具体的に「5-4-3-2-1法」がどのようなものであるか、その具体的な実践法を挙げていきましょう。
「5-4-3-2-1法」は、「身の回りの物や感じる物などを言葉に出す対処法」です。
発作が起きた際に、目に見える物や感じる物などの名称を声に出すだけで症状の悪化を防ぐことができるのです。
例えば、駅のロータリー周辺でパニック発作を起こしてしまったとしましょう。
通勤ラッシュの時間帯に電車内で広場恐怖を感じていてなんとか改札付近までは持ちこたえられたものの、改札の出口付近の人混みによって発作が起きてしまいます。
この時、まずすべきは「人混みから離れる」ということと、「呼吸のしやすい体勢をとること」です。
人混みの中では、「たくさんの人に見られている」という不安や恐怖によって発作が悪化する可能性があります。
イスやベンチに腰掛けて前屈みになるだけでも呼吸がしやすくなりますし、座る所がなければ壁に両手を付けて軽く前屈みになるだけでも呼吸がしやすくなります。
目に見える物を5つ声に出す
まずは目に見える物を5つ声に出しましょう。
- 「駅の改札」
- 「タクシー」
- 「歩道橋」
- 「牛丼屋」
- 「ロータリー」
感じるものを4つ声に出す
次に、感じるものを4つ声に出しましょう。
- 「冷や汗をかいています」
- 「立っているのがしんどいです」
- 「風が少し吹いています」
- 「荷物が重たい」
聞こえるものを3つ声に出す
ここまでくれば次が「3つ」ということが分かりますよね。
今度は「聞こえるもの」を挙げていきます。
- 「人の足音が聞こえる」
- 「電車の音が聞こえる」
- 「車の走る音が聞こえる」
匂いを2つ声に出す
次は「匂い」を2つ声に出します。
もしも出てこなかったら、自分の好きな匂いなどでも良いので、思いついた匂いを2つ挙げましょう。
- 「排気ガスのニオイ」
- 「誰かの柔軟剤の匂い」
自分の好きなところを1つ声に出す
最後は「自分の好きなところ」を声に出してみましょう。
- 「中途半端が嫌いで最後までやり通すところ」
発作以外に意識を向けることができるため効果が高い
前述した「5-4-3-2-1法」は、五感で感じていることを声に出すことで発作を起こしている状態から意識を逸らすことができるため、発作の症状が悪化しにくくなります。
言葉に出すことで自然と吸うよりも「息を吐く」ことになるのもポジティブな理由の1つです。(発作時は苦しくて息を吸いすぎてしまう傾向にある)
あくまでも意識を他に向けることが重要なので、決して大声で言葉にしなくてもOKです。
発作を起こしている本人であれば、おそらく「次は聞こえるもの3つ」といったように順序通り進めるのは難しいかと思うので、正確にしなくてもOKです。(とにかく発作から意識を逸らせればOK)
周囲の人が発作を起こしているならば、冷静に場所移動と呼吸のしやすい体勢を補助しながら「目に見える物を5つ言ってみて?」というように促しましょう。
まとめ
今回は、パニック障害の発作への有効な「5-4-3-2-1法」の効果と具体的な実戦方法について解説してきました。
パニック発作はとても辛い症状ですが、対処法を知っていれば短時間で鎮めることも可能かもしれません。
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