日本でも特に多いとされている精神疾患である「パニック障害」と「うつ病」ですが、「もしかしてこの2つは関係しているのでは?」と感じている人もいるのではないでしょうか?
さらに、パニック障害とうつ病の違いを明確に説明できない人も意外と多いはずです。
心に関する知識は、確実に知らないよりも知っておいた方が良いのは間違いありません。
長い人生の中で自分自身はもちろん、家族や友人、パートナーなどがそうした疾患を抱える可能性も十分にありえるからです。
この記事では、そんな「パニック障害とうつ病の違い」について解説していきたいと思います。
パニック障害とは
それではまず、パニック障害がどのようなものなのかを具体的に挙げていきましょう。
パニック障害は、日常生活や仕事中などに突然パニック発作が起こる障害です。
日本人の約100人に1人は症状の大きさの違いはあれど発症するといわれています。
呼吸困難によって命の危険を感じることも多く、その他にも動悸や吐き気、めまいなど様々な症状が同時に現れます、
そのほとんどが実際に命を落とすことはなく、10分~20分もすれば症状が軽減します。
初めて発作が起きた際には、「なにかの病気かも?」と思ってしまうこともあります。
そのため病院を受診し検査を受ける人も多いですが、異常が見つからないことがほとんどです。
「また発作が起こるかもしれない」と感じ不安を常に抱える「予期不安」やすぐにその場から逃げることができない状況下で大きな不安を感じ発作に繋がる「広場恐怖」といった特徴があります。
病院での治療(薬物療法と精神療法)を適切に受ければ、約30%の人が完治し、40%~50%の人はある程度改善されます。
しかし、治療期間は6年~10年とかなり長期化するため、焦らずに上手く症状と付き合いながら暮らしていく必要があるのです。
そして、20%~30%の人は症状の改善が見られず、中には悪化してしまう人もいます。
うつ病とは
次にうつ病について解説しましょう。
うつ病は、日常生活に強い影響が出てしまうほど気分が落ち込んでしまう病気のことを指します。
疲れやすさやだるさ、食欲低下といった症状が起こる「急性期」では、6週間~12週間に治療期間が必要です。
薬の量を徐々に減らしていく「回復期」は、実は最も危険な期間だといわれています。
命を断つ人が最も多いのがこの期間であることからもそれが証明されています。
そのため、「回復してきたからもう薬はいらない」と考えるのは危険です。
薬の量を維持しながら、じっくり(半年程度)と改善に向けて進んでいく必要があるのです。
うつ病は、世間のイメージと比べて意外と改善までの期間が短い傾向にあります。
適切な治療(薬物療法と精神療法)を受ければ約75%の人が3ヶ月内に改善するとされていて、そのうちの約半数の人は再発せずに普段の生活を続けることができます。
ただし、改善してからも半年~1年ほどは薬物療法を継続する必要があります。
残りの25%の人たちも、部分溶解といって一部の症状が緩和する傾向にあります。
パニック障害とうつ病の違い
前述したそれぞれの疾患の内容を読むことで、ある程度違いは理解できるかと思います。
分かりやすく言うと、パニック障害は「心の病気」であり、うつ病は「脳の病気」となります。
パニック障害が不安感が増した際に発作が起こるのに対して、うつ病はホルモンの分泌異常や脳内の伝達物質が機能しない状況によって起こります。
ただし、「ストレスが大きなきっかけとなることがある」という共通の部分も存在します。
パニック障害とうつ病は併発する可能性が非常に高い
似て非なる病気であるパニック障害とうつ病ですが、実は併発させてしまう人も数多くいます。
パニック障害になる以前に30%の人がうつ病を発症していて、パニック障害を患った後に約60%の人がうつ病を発症しているのです。
つまり、2つの疾患は非常に関係性が深く、併発しやすい病気であるわけです。
両方を病気の併発は、「パニック性不安うつ病」と呼ばれています。
どちらかを先に発症すると、「自宅にいることが最も安心」だと強く感じますが、逆にそれが併発に繋がってしまうのです。
そのため、パニック障害やうつ病を患った場合には、常に「併発していないかどうか」をチェックする必要があり、場合によっては双方を考慮した治療を進める必要があるのです。
まとめ
今回は、「パニック障害とうつ病の違い」について解説してきました。
パニック障害とうつ病という広く知られている2つの疾患ですが、その症状や治療期間などは大きく異なります。
しかし、「併発することが多い」という事実を考慮すれば、イメージ以上に厄介な病気であるといえるかもしれません。
どちらかが発症してしまった際は、とにかく放置はせずに病院で適切な治療を早急に受けるようにしましょう。
コメント