パニック障害というと、発作時に動悸や発汗、息苦しさ、めまい、死への恐怖感といった症状が起きますが、自分が自分じゃないように感じる「離人感覚」を起こす人もある程度の割合で存在します。
いったいなぜパニック発作を起こすと、離人感覚も引き起こされるのでしょうか?
この記事では、そんなパニック障害で起こる「自分が自分じゃない離人感覚」の原因と改善方法について解説していきたいと思います。
離人感覚とは?
それではまず、「離人感覚」について説明しましょう。
「自分が自分じゃない感覚」といっても、経験したことがない人からするとよくわからないですよね。
また、実際に離人感覚を経験しているものの、それが離人感覚だと自覚していない人もいるはずです。
まずは離人感覚がどういったものなのかをしっかりと理解することが重要です。
離人感覚は、自分自身の行動や考え、体のあらゆる部分の感覚に現実味が感じられなくなる状態のことを指します。
パニック障害によって離人感を感じる人もいますが、実際にはそれ以外でも多くの人が離人感を経験しています。
その割合は全人口の約2%といわれているので、意外と身近な症状なのです。
強いストレスによるパニック障害やうつ病を患っていたり、不安を感じている人がなりやすいといわれています。
目に映るすべての物や人から切り離されているような感覚となり、色彩を失っているように思えることもあります。
他にも、物の形が違って見えたり、実際の音の大きさとは違った音量で聞こえる、現実とは違った速さに感じたりといった症状も起こります。
離人感覚の改善方法
離人感覚は、日常生活に支障をきたしますし、それ以外のパニック障害の症状(動悸や発汗、息苦しさ、めまい、死への恐怖感など)も日常生活が困難となります。
そのため、薬物療法(抗うつ薬や抗不安薬)を飲み続けるといった治療法を行います。
ただし、薬物療法だけでは改善が難しいため、精神療法も並行して行う必要があります。
具体的に有効なストレス対処法としては、主に5つが考えられます。
①ストレスを発散する方法
受けたストレスを溜め込まないように、なる根く早い段階かつこまめにストレスを放出するような行動をします。
運動をして汗をかくことでも良いですし、カラオケに行って大声で熱唱してもOKです。
自身がストレスを発散できる方法で、ストレスを放出させます。
②認知療法
認知療法は、受け取り方を修正していく治療法です。
電車に乗ったことで広場恐怖や予期不安を感じてしまった際に、「発作が起こりそうになったからもう乗るのをやめよう」と考えるのではなく、「パニック障害でも電車に乗ることができた」というように認知を修正していくのです。
「次は乗る時間をもう少し伸ばしてみよう」
「薬を服用してから乗ってみよう」
このように、認知を修正することで改善に向かって動いていけるメリットがあります。
③ストレスを受け入れる
ストレスは現代社会で生きているならば感じて当然だと認識し、「ストレスを受け入れる」といったスタンスで暮らすことも重要です。
良い意味で諦めるともいえますが、ストレスを受け入れることで過度な緊張状態から抜け出すことが可能となります。
瞑想やマインドフルネスなどを活用することで、緊張状態から抜け出しやすくなります。(うつ病を併発している人は、瞑想やマインドフルネスは逆効果となる可能性があるため注意)
④グラウンディング
グラウンディングは、カリフォルニアで行われていた健康法で、現在では世界的にも人気となりつつあります。
「アーシング」と呼ばれることもあります。
素手で大地や木などに触れることで、五感の働きを活性化させたり、心拍数を下げたりすることが可能となります。
手で触れるだけでなく、「素足で歩く」といった行動も有効です。
さらには、氷を手のひらに置いたり、温かいお湯が入ったマグカップを両手で触れたりなども、自分自身の存在を確認することが可能となるため離人感覚の改善に有効となります。
⑤行動療法
何もしない時間は、離人感覚を引き起こさせる可能性が高いため、なにかに没頭させる「行動療法」も有効な方法となります。
なにかに没頭できている時間は、離人感を遠ざける効果が期待できるため、積極的に趣味など好きな時間を作って没頭します。
まとめ
今回は、パニック障害で起こる「自分が自分じゃない離人感覚」の原因と改善方法について解説してきました。
パニック発作というと、息苦しさや発汗、動悸などの症状が多いですが、人によっては離人感覚を起こしてしまうこともあります。
離人感覚を起こすと自分自身の行動や考え、体のあらゆる部分の感覚に現実味が感じられなくなるため、生活に大きな支障が出てしまいます。
もしもそうした症状に悩まされているならば、薬物療法と併せてここで挙げた5つの改善法を実践してみましょう。
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